single.php

第2回 次なるゴール 地域医療のLeading hospital 新しい医療を、八王子から世界へ

第2回
次なるゴール 地域医療のLeading hospital 
新しい医療を、八王子から世界へ

地域医療構想の本質

日本の医療は激動の時代に入った。これまでの、病院「単体」の時代ではない。

3年前、「新専門医制度」が始まった。
私の、次なる想いは、ここから始まった。
なぜ、今「新専門医制度」なのか?
私なりに辿りついた答えは、医療の『地域への移行』であった。
(→ブログ第11回参照)

 

なぜ「地域」なのか。

そこには、日本を待ち受ける、厳しい現実があった。

私の理解では、日本の「人口動態の変化」と「財政基盤の悪化」である。

日本はまさに未曾有の人口減少社会に突入する。
かつ、人類史上類を見ない高齢化と、生産年齢人口の減少に直面する。

財政的には、日本はバブル崩壊以降、「政府債務」というツケをため込み、
すでに返済困難と言わざるを得ない状況にある。

この先も、政府収入が減少(生産年齢人口の減少)し、
政府支出は増加(高齢人口の増加)する一方である。

平たく言うと、
「日本にはもうお金がないので」
「地域でまとまって効率的な医療をやって、節約してください」
ということであろう。

しかも、「地域でまとまる」期限は、もうすぐそこまで来ている。

地域医療構想は2025年(5年後)、
「医師の働き方改革」は2024年(4年後)が期限である。
(→ブログ第7回第8回第9回第10回参照)

 

つまり、この先の数年間で、地域医療は、「医師」と「病床」を、再配置しなければならない。

これは、とてつもなく大きな改革であり、
病院「単体」で経営を考えてきた従来の考えでは、立ち行かないだろう。

しかし、この改革は、子供たちや、
まだ生まれぬ、将来世代の負担を軽減するためのものである。

 

現役世代の我々は、「痛みを伴う」改革を、粛々と実行しなければならない。

いろいろ調べ、見聞きするうちに、そう思うようになった。

しかも、その改革は、単なる「危機回避」ではない。

ピンチはチャンスとも言える。

地域が一体になれば、症例経験やデータを共有できる。
それにより、技術や知識、研究レベルが向上する可能性がある。
診療の効率化によって、地域全体の医療経営が改善するかもしれない。

医療のレベルが上がり、患者さんが増え、利益が増えると、
雇用も増え、学術振興や、地域の「産業」発展に寄与できるかもしれない。

すなわち、もし日本の医療レベルを、
地域単位で「世界レベル」まで向上させることができれば、

医療が日本の「産業」復活の切り札になる可能性も十分にある。
それこそが、医療が地域へ移行する本当の意義、なのかもしれない。

リーディングホスピタル

八王子医療センターは地域のリーダー。新しい地域医療を、八王子から世界へ。

八王子医療センターは、
地域包括ケアの全構成要素を支える、地域のleading hospitalとして、
その「唯一無二の価値」を発揮することができるはずである。

八王子医療センターを構成する一員として、そう思う。

大学付属の「育成」機関というのは、

地域全体の医療・介護レベルを向上させ、
地域「産業」の発展を推進するポテンシャルを有する。

もちろん、言うのは簡単。実行することは容易ではない。
職員の多くが、挑戦したい「想い」を持つ必要がある。

思えば、救命救急センターの発展は、

地域との「顔の見える連携」によって、成立してきた。

「最後の砦」であった。

いま、単独で生き残るのではなく、地域医療の共存が求められれている。

八王子医療センターが地域のリーダーとして、
地域の「全体最適」を支えられるよう、私も貢献したい。

他の病院を「蹴落として」生き残るのではなく、
他施設との協力を惜しまず、地域全体で生き残る道を探る、

その「イニシアティブをとる」という強い意思を、我々世代で発信したい。

さもなければ、大学付属病院といえど、激動の時代から、取り残されてしまうように思う。

私は、「断らない三次救急」の延長線上に、
地域全体へのリーダーシップを描いている。

『新しい医療を、八王子から世界へ』。

 

公開日:2020年1月15日  カテゴリ: 新井隆男のブログ

プロフィール

救命救急センター長 新井隆男

東京医科大学八王子医療センター
救命救急センター長 新井隆男

◎所属学会 認定資格
日本救急医学会指導医
日本救急医学会関東地方会
日本臨床救急医学会
日本外科学会
日本腹部救急医学会
日本感染症学会
日本熱傷学会
日本プライマリ・ケア学会

◎これまでの社会活動
東京DMATインストラクター
東京都地域災害医療コーディネーター